札幌市は、マンション(集合住宅)の地震対策のパンフレット「マンションの防災力」を、危機管理局(市役所本庁舎7階)、市政刊行物コーナー(本庁舎2階)、各区役所で配り、ホームページにも載せています。内容は、「1 ぐらっときたら、まず自分の身を守る」「2 揺れがおさまったらみんなで助け合う」「3 被災後の生活を協力してのりこえる」「4 日ごろから備える」の4つです。パンフレットによると、札幌市の直下で想定しうる最大級の地震が起きた場合、市街地の広い範囲で震度6弱以上の強い揺れが予想されています(札幌市「マンションの防災」のページ、2024年2月13日更新と、同ページのパンフレット(PDF)から)。
目次
1 ぐらっときたら、まず自分の身を守る
- 大きな揺れを感じたとき、または緊急地震速報を聞いたときは、丈夫な机の下などで、揺れがおさまるのを待ちます。高層階は、より大きく揺れ、長周期地震動が発生すると、揺れが非常に長く続くので、注意が必要です
- 固定されていない家具やキャスター付きの家具は、倒れたり、動いたりする危険があります。窓ガラスが割れたり、食器が飛び出して割れたりする危険もあるので、窓際や、台所、蛍光灯の下などから離れます。破片に注意して、室内でもスリッパや靴などをはきます
- 東日本大震災のあとに東京消防庁が行ったアンケートでは、高層階になるほど、家具類が転倒・落下・移動した割合が多くなりました(11階以上47.2%、6〜10階31.9%、3〜5階23.8%、1・2階16.8%)。パンフレットは、これを長周期地震動が一因と考えられると説明しています
- 家具には、転倒防止の突っ張り棒、ガラスの飛散防止フィルム、開き戸の留め具などの対策を考えます。出入口付近の家具が倒れて扉をふさぐと、避難の障害になります
地震のとき、場所ごとの動き(パンフレットの図から)
| いる場所 | とる行動 |
|---|---|
| ベランダ | はきものをはいたまま室内に入り、窓ガラスからはなれる |
| エレベーター | すべての階のボタンを押し、最初に停止した階で降りる。閉じ込められたら、非常呼び出しボタンで助けを求める |
| 洗面室など | 閉じ込められないよう、戸を開ける |
| 火を使っているとき | 揺れがおさまってから、落ち着いて火を消す |
| 廊下・エントランス | 窓からはなれ、太い柱の近くなどで、頭を保護して身をかがめる |
| 外壁の一部やガラス片が降ってくる | 建物からはなれる |
2 揺れがおさまったら、みんなで助け合う
- 火の元を断つ: ガスの元栓を閉め、ガス臭がしたら窓・ドアを開けて換気し、ガス会社に連絡します。ガス臭いときは、絶対に火は使いません。電気火災を防ぐため、電化製品のスイッチを切ってコンセントも抜き、避難するときは、ブレーカーを切ります。火が出たら、落ち着いて消火器などで消火し、消せないときは、ドアを閉めて延焼を防ぎ、煙を吸わないよう、口を布でおおい、低い姿勢で避難します
- エレベーターの確認: 閉じ込められている人がいないか確認します。大きな揺れのあとは、点検が終わって安全が確認されるまで、使ってはいけません
- 落ち着いて避難する: 階段で将棋倒しにならないよう、周りに声をかけ合いながら避難します。火災やガス漏れ、大きな損壊などがなければ、急いで公的避難場所へ向かう必要はありません
- 安否確認と避難の支援: 集会室などに集まって各戸の安否を確認し、自力で避難するのが難しい人の支援を、複数人で協力して行います
- 停電すると、給水ポンプが使えず、トイレの排水ができなくなる場合があります。断水していなくても、配管が損傷し、上の階の住民が流した汚水が下の階であふれたり、逆流したりする可能性があるので、配管に不具合がないと確認できるまでは、トイレに水を流さず、簡易トイレを使います
- エレベーターの復旧: 東日本大震災では、仙台市と周辺の102棟のエレベーターがすべて停止し、当日復旧が3件で、大半は復旧に2〜3日かかったという調査があります(高層住宅管理業協会のアンケート)
3 被災後の生活を協力してのりこえる
- 避難場所でも、被災後すぐに十分な支援が届かないので、住み慣れたマンションで、生活できる準備をしておきます
- 建物の被害を把握し、早期に建物の対応を確認し、役割を分担し、協力し合います。食材を持ち寄って炊き出しをしたり、給水車から水を運ぶなど。出入口やオートロックに不具合がある場合は、見回りなどの防犯対策も必要です
- 自宅での生活: 大きな損傷がなければ、自宅で過ごします。自宅の損傷が大きい場合や、高層階のため移動や飲料水の運搬が困難な場合は、集会室などでの避難を検討します。居住が難しいときは、小・中学校などの指定避難所へ避難します
- 衛生的なごみの管理: 市のごみ収集が正常化するまでに時間がかかることも予想されます。共同のごみ集積所が、衛生的に保たれるよう管理します
- 札幌市のライフラインの復旧の想定(パンフレット): 直下型の大地震が起きると、電力は発災直後に8割、1日たっても2割が停電し、復旧までに7日かかると想定されています。上水道は発災直後に4割、1日たっても2割が断水し、復旧までに27日かかると想定されています(阪神・淡路大震災では、電力7日間、上水道90日間)
- 水運びは重労働です。飲料水の備えは、一般的に最低3日分といわれますが、できるだけ多めに備えます。受水槽の水を使える場合は、容量や取水の操作方法を事前に確認しておきます。自宅での生活を続けるため、最低3日分以上の備蓄をします
- 簡易トイレ(水のいらないもの)を使い、高齢者・一人暮らし・子育て世帯など配慮が必要な人には、積極的に声をかけて支援します。エレベーターが安全確認ができず停止しているときは、人の移動や、食料・飲料水の運搬に、非常階段を使います
マンション(共同)で備えておきたいもの(パンフレットの例)
- 救出・消火: バール、ハンマー、金のこぎり、ペンチ、スコップ、救助用ロープ、脚立、二連はしご、バケツ、散水ホース、革手袋、ヘルメット、防塵マスク
- 手当て: 医薬品、衛生用品、タオル、毛布、包帯、三角巾、担架
- 建物の補修: ベニヤ板、掃除道具、立ち入り禁止ロープ、ブルーシート、砂袋、防水テープ
- 避難生活: 懐中電灯、乾電池、トランシーバー、拡声器、発電機、テント、台車、リヤカー、投光器、簡易トイレ、暖房器具、炊飯用具、燃料、ポリタンク、マッチ、ライター、カセットコンロ、ラジオ、食料、飲料水、ごみ袋
4 日ごろから備える・相談先
- 定期的に、各家庭の家具対策、防災用品の備蓄、とっさの行動などを確認します。家族構成や緊急時の連絡先、手助けが必要な人への対応を確認しておきます
- 掲示板などで情報を伝え、研修会やアンケートを開き、消防署に相談して、消火器の使い方、応急手当て、救命処置などを学ぶ機会をつくります。マンション全体で、または近隣のマンションや町内会と合同で、訓練をします
- 建物の耐震化の支援: 札幌市は、昭和56年5月31日以前に建築した、一定の条件を満たす延べ面積1,000平方メートル以上の建築物の、分譲マンションの耐震診断、耐震設計や耐震改修などにかかる費用の一部を補助しています。市役所2階建築安全推進課(電話 011-211-2867)に問い合わせます。建築士が耐震に関する相談に無料で対応する窓口(一般社団法人北海道建築士事務所協会札幌支部、電話 011-790-8802)もあります
- 出前講座(地震・風水害・土砂災害などについて、市職員が地域に出向いて説明): 市役所7階危機管理課(電話 011-211-3062)。防災訓練の実技指導は、各消防署・消防出張所
- 札幌市民防災センター(白石区南郷通6丁目北)の団体見学は、事前の申し込みが必要です(電話 011-861-1211)
情報源
- 札幌市「マンションの防災」(2024年2月13日更新)と、同ページの「マンションの防災力」パンフレット(PDF): https://www.city.sapporo.jp/kikikanri/higoro/iza/ms_bosairyoku/ms_bosairyoku_index.html
この記事は2026年10月時点の情報です。パンフレットは2024年の発行で、補助制度などは変わることがあります。問い合わせ先に確かめてください。札幌市内のほかの記事は、札幌市の記事一覧にあります。
アイキャッチ画像: AIで作成したイメージ(実在の場所ではありません)
